電子マネーの種類

電子マネーにはどんなものがあるのか?

既存の電子的決済方法
え?と思った方も多いだろう。もう電子マネーがあるの?あるんです。

(1)クレジットカード
既にかなり普及しているクレジットカードであるが、これは明らかに電子マネーである。現金を持っていなくてもカードだけで買い物が出来るのだから。ただ、「マネー」という音から想像するものとは少し違うかもしれない。「マネー」という音にはキャッシュという意味が想定されているからである。ではこう言い換えよう。これは電子的決済方法だと。これならばしっくり来るのではないだろうか。

(2)銀行振込・郵便振替
日本中の銀行と郵便局はデータ通信網でつながっており、ある人が誰かの口座への振り込みを指示するとその通信網を通じて口座の書き換えが行われる。郵送などによるさまざまな無駄を省き、電子ネットワークを使う事で早く確実な口座の書き換えが可能になった。これも明らかに電子マネーであるといえよう。

これからの電子的決済方法
これまでは既存のもので電子的に決済を実現している方法を紹介した。実際に現在シェアウェアなどの代金を払う時には上記のどちらかの方法による事が多いのではないだろうか。それで快適な決済が出来ているのならば問題はない。しかしクレジットカード番号はネットワーク上でやり取りできず、電話で口頭で伝えたりファックスや郵送によるほかはない。銀行振込はいちいち銀行まで出向かなければならず、かつ小額であってもある程度の手数料がかかる。まだまだ快適とは言い難いのである。ではそれを解決する方法はあるのだろうか。

(3)クレジットカード番号の安全な送信
当たり前の事だがクレジットカード番号が安全にネットワーク上で送信しあえれば一番手っ取り早く解決する。そのための研究は広く行われており、メール機能を活用したファーストバーチャル、強力な暗号によって解読できない様にしようとするサイバーキャッシュ、VISAとMASTERの共同規格SETなどがある。(詳しくは卒論第三章第二節参照)いくつかの方法が実用段階に入りつつある。
国内:UCカードのサイバーネット、CCCを初め、住友クレジットサービスやJCBの運営するモールでSETに対応した決済ができる。その他大手出版局等が運営するモールでもSETに対応し始めており、またアコシス等独自開発のものも実用化されている。

(4)電子小切手
小切手決済を電子化しようとするもので、これも数多くの実験が進められている。小切手は個人決済においては問題にならないような気もするだろうが、欧米(特にアメリカ)ではパーソナルチェックがいまだに広く使われているのだ。ネットビル、ネットチェック、ネットチェックスなどがその研究である。

(5)電子バンキング
銀行振込を初め、預け入れ、引き出し、残高参照など銀行業務のすべてをネットワーク上で行おうとするもので、ホームバンキングはアメリカでは既に相当普及するまでにいたっているし、インターネット上でもSFNCなどが業務を開始している。

電子マネー
これまでのものが電子マネーでなかったわけではない。ただ、最初に述べたようにマネーという音から捉えられるイメージにマッチするものという事だ。つまり単独で現金の代替を果たしうる決済方法である。

(6)ICカード貯蓄型
これは先日マスターカードインターナショナルの傘下に入ったモンデックスのシステムを初めとするICに価値を蓄積していくタイプの電子マネーを呼ぶ。他にもVISAインターナショナルが開発したVISAキャッシュなど、いまだ数多くの規格がある。これはICの中に価値を蓄積しておいて、小売店やレストランで価値を引き出す事によって支払いが出来るようになるだけでなく、個人のカード間で価値の受け渡しをする事も出来、現金の機能に一番近いものであるといえる。
国内:先日東京の渋谷でクレジットカード会社、都市銀行等が共同でビザキャッシュの実験を開始したのをはじめ、神戸でも同様の実験が行われている。また、沖電気産業、大日本印刷などが開発した電子マネーは実際に長野県駒ヶ根で実用化されている。
モンデックスは日本では普及が進んでいないが、マイカルがマイカルカードを来年にも順次、モンデックスを包括した規格「マルトス(multos)」を搭載したものへ切り替えはじめることを表明している。

(7)ネットワーク流通型
これは現在のところeキャッシュと呼ばれるデジキャッシュ社やマークトウェイン銀行によって推進されるネットワーク上での利用のみを目的とした電子マネーのことを言う。単なる電子データを貨幣として利用しようというもので、複製などの問題はあるが、銀行を通さない貨幣になりうるものとして最も革新性を秘めている。
国内:NTTらで構成するコマースネットジャパンの開発した電子マネー。eキャッシュと同等かそれ以上の機能を有するが、それをいかに普及させるかというのが課題になりそうだ。

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