クレジットカード

クレジットカード

(1)クレジットカード
電子マネーのページにどうしてクレジットカードのページがあるのか?これは表紙にも描いたようにカード決済は現在最先端の電子的決済方法であり、これからの電子マネーを展望するに当たって参考になる部分が多いだけでなく、電子マネーと共存して将来も重大な決済手段となりうると考えているからである。現在さまざまな形で電子マネーの実験が行われているが、どんな実験よりも実績を積んでいるのはカード会社ではないだろうか。

クレジットカード業界構造

クレジットカードには下記の5種類しかない。(と考えてさし支えない)
**実はアメリカにはディスカバーカードというシアーズの発行するカードがあり、また日本でも流通各社の発行するハウスカードなどももちろんクレジットカードであるため、5種類と言い切るのは難しい。
カード会社名会員数加盟店数売上高
VISAカード55,326万人1,200万店10,776億ドル
マスターカード40,410万人1,370万店5,528億ドル
アメリカンエクスプレスカード4,150万人1,843億ドル
ダイナースカード746万人348万店276億ドル
JCBカード3,560万人442万店375億ドル

もちろん、カード会社が5社しかないといっているわけではない。
日本だけ見てみても相当数のカード会社が存在する。たとえば・・・

  1. UCカード
  2. 住友クレジットサービス
  3. JCB
  4. DCカード
  5. ミリオンカード
  6. 共同クレジット
  7. ジャックスカード
  8. 日本信販(ニコスカード)
  9. オリエントコーポレーション
  10. セントラルファイナンス
  11. アプラス
  12. 国内信販
  13. GCカード
  14. クレディセゾン
  15. イオンクレジットサービス(ジャスコカード)
  16. 阪急東宝クレジット(ペルソナカード)
  17. ダイエーOMC
  18. マイカルカード
  19. 東急カード
  20. 高島屋カード
などなど、まだまだカード会社は存在する。

ではどういう仕組みになっているのだろうか。これは先に挙げた5社の経営戦略の歴史によって決まっている。ではカード業界の歴史を振り返ってみよう。

まず最初にできたカード会社はダイナースクラブである。これは文字どおり夕食を食べる人の会であり、現在に至るまでステータスカード発行元(厳格な審査でカードホルダーの信用を保証する)としてゴルフ場やホテル、料亭など高級な店舗を中心に加盟店展開をしている。そうしたカードをT&E(トラベル&エンターテイメント)カードと呼ぶ。

その流れを受け継いだのはアメリカンエクスプレスである。この会社は元々旅行会社であり、必然的にトラベルカードの第一人者となった。

そうした流れと対局にあるのがビザインターナショナルとマスターカードインターナショナルである。両社はアメリカの会社であるが、自社ではカードを発行しない。あくまでビザ、マスターというブランドを貸し付け、ブランド貸与料金を取るという運営を行っている。いわゆるフランチャイズ契約であり、そうする事によって全世界200カ国1200万店という非常に大きな加盟店網を築き上げた。多くの店舗で使えるとなれば会員ももちろん増えるわけで、すでに両社での会員数は6億人を突破している。

そしてその5社の中では最後発のJCBはその両者の特徴を取り入れ、基本的には自社加盟店網を拡大し、会員獲得においては積極的に各社と提携してカードを発行、ブランド提供も行っている。


さて、では前述した多くの日本のカード会社はどのようなカードを出しているのだろうか。ここまで読んでいただいた方にはもうお分かりかと思う。VISA・マスターもしくはJCBというブランドを付ける事でその加盟店網で利用可能なカードを発行しているのである。歴史的には住友クレジットサービスがまずビザインターナショナルと契約して独占的にビザカードを発行し、UC・DC・ミリオン・信販系各社がマスターカードを発行、JCBはアメリカンエクスプレスカードを発行するという基本形態があった。ところがアメリカンエクスプレスがJCBとの提携を中止するのに伴ってJCBが独自路線を歩み始め、日本信販がビザインターナショナルと直接契約を結んでビザ・マスター両方を発行し始めた。その後クレディセゾン、ダイエーOMCもビザインターナショナルと直接契約を結んだためUC・DC・ミリオンの銀行系各社も両カードを発行する事となり、そうなるとビザ=住友というイメージで進めてきた住友クレジットサービスも逆にマスターカードの発行に踏み切った。こうなるとどこのカード会社も同じという事になってきてしまう。現実にUC・DC・ミリオン・住友クレジットサービス・クレディセゾン・ダイエーOMC・日本信販のどれか一つの加盟店であればビザカードでもマスターカードでも使えてしまう。UCカードの加盟店でDCカードが使えてしまうのである。そこで各カード会社は他社との差別化を図るために提携カードを発行、現在に至るわけだが、その辺は電子マネーとはほとんど関係がないため省略する。

ここまでで最も言いたかったのは「多くのカード会社が存在するがカードの種類は5種類しかなく、その中でもビザとマスターが多大なシェアを持っている。」ということ。これまでに非常に多くのノウハウを積んでいる両社抜きにこれからの電子マネー業界は語れないであろう。

では。。。クレジットカードは電子決済なのか?


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