カード決済は電子決済か?

クレジットカードは電子決済なのか?

さて、クレジットカード決済は電子決済といえるのだろうか。

クレジットカード決済自体はほとんど電子決済とは言えない。なぜなら、その決済はあくまでツケ払いであり、そこで決済が完了するわけでは全くないからである。しかし、カード決済には電子決済へつながるヒントが多く隠されている。だから電子決済を考える時にカード決済を十分に考察する事は十分に価値がある。

ではどんなヒントが隠されているというのだろうか。その答えをここで出してしまっては何も面白くないだろう。とにかくクレジットカード決済の仕組みをここでは詳しく見ていこう。その中にヒントはたくさん隠されているのだから。

クレジットカード決済の仕組み

クレジットカード決済は消費者が物を買う時にお店にお金を払わないで済ませる事に意義がある。そこで消費者と店舗の間にカード会社が入ってそれを実現する。A君がカードの加盟店Bジュエリーで10万円の指輪を買うとする。この時の決済手順は次のようになる。
  1. A君が購入する指輪と共にクレジットカードをB加盟店に提示する。
  2. B加盟店はA君のカードが有効なカードかどうか確認する。
  3. そのカードが有効カードである事が確認されるとB加盟店はカード会社所定の売上票を作成する。
  4. A君はB加盟店の求めにしたがって所定欄にサインをする。
  5. B加盟店は売上票控をA君に渡し、売上票をカード会社に送付する。
  6. カード会社は各社それぞれの締日に基づいて売上を立てる。
  7. 締日から約半月〜1ヶ月後にB加盟店が加盟時に指定した銀行口座に売上票の金額から手数料を差し引いた金額が振り込まれる。
  8. 締日から20日〜60日後にA君が申込時に指定した銀行口座から売上票の金額が引き落とされる。
一つ一つ解説していこう。
  1. これは問題ないだろう。
  2. これはどうやって確認するのかという問題がある。現在一般の加盟店では5万円未満の商品なら無効カードの番号リストに載っていなければOK。5万円以上の商品であればカード会社に電話や端末で問い合わせるという事になっている。ただ、5万円未満の買物であっても全件問い合わせてもらうのが望ましい。無効カードリストは完全にタイムリーに発行できるわけではなく、無効カードは日々発生するものだからである。ただ、いちいちカード決済が発生するたびに電話をするのはあまりにも面倒くさい。それを解決したのがCAT(クレジットオーソリゼーションターミナル)である。この端末にカードを通し、売上金額を打ち込めば電話回線を通じて自動的にそのカードの有効無効をチェックし、売上を立てられるかどうかを瞬時に判断できるのである。
  3. これもどうやって作るのかという問題がある。カード番号・有効期限を書き移し、さらに加盟店番号や加盟店名も書き、その上で売上金額を書いてサインを求めてももちろんかまわない。ところが、そんな事をしていてはお客さんが待ちくたびれてしまう。それを解決するためにできたのがインプリンターである。おそらく皆さん見た事があるだろう。カードを置いてその上に売上票を置き、「がちゃがちゃ」とやるあれである。その売上票にはカーボンが入っていてそうする事によってカードに書かれている番号を書き移してくれるのである。だが、それでも結構な時間がかかってしまう。それも上記のCATならば解決してしまう。CATには売上票が付いており、有効無効のチェックをして有効と判断すれば自動的に売上票を印字してくれ、それにサインをしてもらえば出来上がりなのである。
  4. これは問題ないだろう。カードの裏面に書かれてあるサインと同じ物でないといけないのは言うまでもない。裏面のサインをせずに家族で使いまわすなんてことは何か問題があった時に大変な事になりかねない。便利なものはきちんとした使い方をしたいものである。
  5. これはカード会社に直接送付する。これは売上日から何ヶ月以内に送付しないといけないと決められている。だが、それが1ヶ月であったとして、例えば1月13日に売上があり、2月13日に発送し、カード会社に2月16日に到着、その締日が15日だったとすると3月15日に売上が立ち、振込は4月になってから、会員からの引落も4月中旬となんと売上から3ヶ月近くも経ってしまう事になる。会員も加盟店もあまりにも時間が開いてしまうのはどうなったのか気になるだろうし、あまり好ましいとは言えない。

まとめ

ということで、クレジットカード決済は電子決済というにはあまりにも現実的ではあるのだが、商品の受け渡しとカードの提示、サインの記入、売上表の送付(ない場合も)のほかはほぼすべて電子的に決済が終了してしまうため、私は電子決済の一つとみなしてよいのではないかと考えている。
ただ、さらに電子的な決済方法はもちろん存在する。

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