■ 夏の終わりの露草(フルカラー版) 公開第5作 1996. 9.19
フルカラーで初めて描いた作品です。当時、部屋の前の、プランター代わりの発泡スチロール箱から生えてきた露草を見て描こうと思い立ちました。露草の花って目出たないけどきれいですよね(^^)。結果、ちょっと「トトロ」風の、結構きれいな絵になったと思います。
◆ 時間かかった…
当時1カ月くらいは掛かってます(^^;。何か、絵としてまとめるのが難しくて、ロマンアルバム版の「トトロ」など引っ張り出して、いろいろやってました。ちょっと前景に草花が来ているカットを参考にしようと思っただけなんですが、結果的には意識し過ぎ…(^^;。
私自身、田舎町の生まれで、確か小学校上がる前は、近所に舗装した道路がなかったような所で育ったので、その記憶がごっちゃになってますますそれっぽくなってます。さすがにああまできれいには描けませんでしたが…
(「トトロ」の絵って、案外色数は使ってないんですよね。フルカラーであれば描けるというものでもないし、こつを掴めば16色でかなりのとこまで再現できるはず)。
で、原画がまとまりかけてきた頃には丁度新学期。新学期といえば、寝坊→走るというわけで(?)こういうキャラになりました。
さて、原画がすんだらスキャン。バイト先で10年くらい前のFAXもらってきていたので、うちのFAXモデムと直結して速攻スキャン…のはずだったんですが、何かモデム設定等でてこずって、結構時間かかりました。
おまけに今回は、前回取り込んだ(FAXモデムを受信状態にして外から自宅に送った(^^;)時、縮小時に線がつぶれてしまったという教訓を生かし、スクールペンで思いっきり細い線を描いたら、見事にかすれてしまい、逆効果……(後でルーペで繋ぎまくることになる)。
でも、これらは序章にすぎなかった!! 何が大変って、露草の葉っぱ×約50枚…。その他、フルカラー初挑戦ということもあり、今回、パソコンに向かっていた時間だけでおそらく40〜50時間位はかかったはずです。正確にはどれくらいなんでしょう…。
確かFFシリーズでセーブファイル中にプレイ時間が記録されていく、というのがあったと思いますが(3までしかプレイしてないので見たことないけど)、グラフィックエディタにも、制作時間を記録していってCGデーター中に埋め込む機能が欲しくなりました(笑)。技術的にはコメント領域に埋めれば問題はないと思うのですが…。
◆ ART/fw
…とは、その時使ったグラフィックエディタです。ちなみに「デイジーアート」というソフトのフリー版だそうですが、元のほうは知りません。
で、これがなかなかよく出来てるんです。最初は16色との感覚差に戸惑ったものの、2、3時間描いて、疲れて半日昼寝して(ぉぃ)…とかやっているうちに、意外なほど短時間で手になじんできてくれました。こいつはただの「デイジー」の販促用サンプルじゃないですよ。確かにそういう要素も持っているでしょうが、「MS−Windows上で手軽に「フルカラーお絵描き」を(ドキュメントより)」というコンセプト上、十分な機能はもってます。
何か…フルカラー環境の普及に伴って、CG描くには十万以上するツールを買わないと話にならないような風潮が出来てきているようにも感じます。別にCG描くのがプロのイラストレーターを目指しているような人ばかりなら、それでいいのでしょうが、それでは「趣味」としてのCG文化は崩壊してしまうといっても過言ではないでしょう。
きっと、ART/fw は、そういう風潮に対するアンチテーゼ的な意志も持って、開発されたような気がするのです。
それでもあえてちょっと不満を述べれば、ルーペ関係でしょうか。まずルーペとメイン画面との間の往復。一度メインに戻ると、ルーペの大きさ、拡大位置、画面内位置がそれぞれデフォルトに戻ってしまうんです。それに、ルーペonの状態で、マスクの無効化等特に関係ないと思われる機能を使ったときに、なぜかルーペoff になってしまう場合があります。
あと、ルーペの中でペイント(閉領域フィル)くらいは使えて欲しかったかな…。「デイジー」では出来るんでしょうけど。ちなみに私がいつもMSXで使っている「ANIMECHA V2」は、ルーペの中でペン先指定以外全ての描画機能が使える強者です。
◆ フルカラーへの挑戦
高速道路だジェット機やリニアモーターカーだという時代でも、自転車には自転車のよさがあるでしょう。16色の時代は終わるという人もいますが、そうは思いません。だからこそMSXの倍角MAGで描くことにこだわってきた私ですが(そりゃ楽をしたいとか、希少価値を利用したインパクトを狙っていたというのもありますが)、それでも最近ちょっと「揺れ」を感じてはいます。
かつて、ゲームマシンやパソコンの表示色数が飛躍的に増えた時代、あの時代のゲームの画面、どうも好きになれないのが多かったんです。特に今改めて見直してみると、なんか、きれいといえばきれいなんですが、「色数を誇示する」感じと言うか、すき間があればグラデで埋めなきゃいけないような…(今でも結構引きずってる気もしますが)。
でも最近、フルカラーのCGは多いですが、それらの中には、色の多さを誇示するのではなく、自然に使っていて好感が持てる、というのが増えてきたように思います。
色数を使うことは手段であって目的ではない、その取り違えが無くなって、初めて多色環境というのは生きてきて、本来の力を発揮し始めたのでしょう。
それに、以前一度だけ、私の絵柄だとフルカラーのほうがきれいに見えると思う、と指摘されたことがあります。多分褒めて下さったのだと思いますが、私はちょっと考え込んでしまいました。
果たして、MSXで、16色で描き続ける意味は……??
パッと思いつくのは、先に触れた(第1作のドキュメントにも書いた)「希少価値によるインパクト」「楽」、それに前回(4作目)に書いた「ファイルサイズが小さい割に効果が大きい」…等です。それらは重要、あるいは利用価値のあることでしょう。
しかし、それらは「絵」の本質にかかわることか、と言えば疑問なわけです。
いかにフルカラー画に近づけるか、ではなく、16色でしか描けない絵とは、どんなものか? フルカラーとは違う方向性で、決してフルカラー画に見劣りしない絵とは? どうすれば描けるのか、そもそも存在しうるのか…?
で、悩んだ末に思い立ったのが、同じ作者の同じCGのフルカラー版と16色版を比べてみようということです。そうすれば、何らかの回答が得られるはずだと思いました。丁度、ART/fwを入手したのもそのちょっと前…。
…で、結局、必然的に(?)自分でフルカラーと16色の同じ絵を描くことを決心してしまったわけです。その片割れが今回の絵というわけ。
というわけで、これ、MSXでも描くつもりなんです。相手は所詮自分自身、しかもフルカラーは初挑戦。もしMSX版がこれに見劣りするようなら今までMSXで描いてきた意味自体を問われることになってしまうでしょう。…とは言え、やっぱし得手不得手というものはあるようで、こういう自然画系はフルカラー有利だよなあ…(^^;。今回は勝負を避けようと言う気がしないでもない(ぉぃ)。
(その後、MSXでのMAG版も公開され、当ホームページにも貼ってます(^^;)
◆ そのほか
部屋の前に生えてくるまでは知らなかったのですが、露草は一本でも、根元近くで20も30もに枝分かれして、地を這うように茎を伸ばし、そこから根を張って広がっていきます。生えてきたのは二本だけだったんですが、スチロール箱を埋め尽くしてあふれるくらいになりました(^^;。
ので、露草の群生のようなのを見かけても、実は一本かも知れません(^^;。もっとも翌年には種が落ちてぼこぼこ生えてくるので、大抵はほんとに群生でしょうけど…。
あと、あの花は朝顔みたいに、朝咲いて昼にはしぼんでしまいます。部屋の前に草花植えて観察してみるのもいろいろ判って楽しいですよ(^^)。
それにしても昔のDOCに加筆したら、妙な文章に…(^^;。
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